人手不足対策事業は、中小企業が持続的に成長するための羅針盤!
株式会社主体的なキャリア形成 代表取締役、キャリアコンサルタントの平野裕一です。
私が日々、多くの中小企業の経営者や従業員の皆様とお話しさせていただく中で、共通して聞かれる切実な課題が「人手不足」です。この人手不足は、単に採用が難しいという話に留まらず、企業の成長を阻害し、ひいては地域経済の活力を削ぐ深刻な問題へと発展しています。
しかし、私はこの人手不足を単なる「危機」と捉えるのではなく、むしろ「企業が新たな成長戦略を描き、持続可能な組織へと変革するための絶好の機会」だと考えています。本日は、福岡市の中小企業の皆様が、この人手不足の時代を乗り越え、未来を切り拓くための具体的な方策について、私の視点からお伝えしたいと思います。
Contents
なぜ今、人手不足が深刻なのか? 福岡市の現状から見えてくる課題
- 少子高齢化の加速: 日本全体の構造的な問題ですが、生産年齢人口の減少は、福岡市においても深刻な影を落としています。新規学卒者の減少に加え、団塊の世代の引退が進むことで、労働力人口の減少は避けられない現実です。
- 労働市場のミスマッチ: 働く側の価値観が多様化し、ワークライフバランスやキャリアアップへの意識が高まっています。一方で、中小企業の中には、依然として旧態依然とした働き方や評価制度が残っているケースもあり、これが労働市場とのミスマッチを生み出しています。特に若年層や女性の労働参加を促す上での課題となっています。
- 賃金・待遇面での競争力不足: 大企業と比較して、中小企業は賃金や福利厚生の面で不利な状況に置かれることがあります。これが、求職者が大企業を選択する一因となり、中小企業への応募者が減少する傾向にあります。
- 採用手法の多様化への対応遅れ: インターネットやSNSを活用した採用活動が主流となる中で、昔ながらのハローワーク頼みや縁故採用に終始している企業も少なくありません。情報発信力や採用ブランディングの重要性が増している中で、これらの対応の遅れが採用競争力の低下を招いています。
- 人材育成の停滞: 採用した人材をいかに定着させ、戦力化していくかという視点が欠けている企業も散見されます。OJT任せや、体系的な研修制度の欠如は、従業員の成長意欲を削ぎ、離職に繋がる可能性があります。
これらの課題は、どれか一つを解決すれば良いというものではありません。複合的にアプローチすることで、初めて持続可能な人手不足対策を講じることが可能になります。
人手不足対策事業の3つの柱:平野が提唱する「採用・定着・育成」戦略
私は、人手不足対策を考える上で、以下の3つの柱が不可欠だと考えています。
- 「攻め」の採用戦略: 採用できる人材を増やすための積極的なアプローチ
- 「守り」の定着戦略: 採用した人材を組織に引き留め、戦力化するための環境整備
- 「未来」の育成戦略: 従業員の能力を最大限に引き出し、企業の成長を牽引する人材を育てる
それぞれについて、具体的に見ていきましょう。
1. 「攻め」の採用戦略:採用ブランディングと多様なチャネルの活用
「人が来ない」と嘆く前に、まずは自社の魅力を最大限にアピールし、ターゲットとなる人材に効果的にリーチするための戦略を立てることが重要です。
- 採用ブランディングの強化:
- 企業の強み・魅力を言語化する: 「うちは何が強みなのか?」「どんな人が活躍しているのか?」「入社したらどんな経験ができるのか?」を明確に言語化し、対外的に発信する準備をしましょう。例えば、福岡市ならではの働き方や、地域貢献といった視点も有効です。
- 「働く場」としての魅力を高める: 賃金だけでなく、福利厚生、ワークライフバランス、職場の雰囲気、キャリアアップの機会など、多角的な視点から「働きたい」と思わせる魅力を創出することが重要です。
- 従業員の「生の声」を発信する: 採用サイトやSNSで、実際に働く従業員のインタビュー記事や動画を掲載することは、企業文化や職場の雰囲気を伝える上で非常に有効です。リアルな声は、求職者にとって最も信頼できる情報源となります。
- 多様な採用チャネルの活用:
- 自社採用サイト・ブログの充実: 企業としての情報発信の拠点として、採用に特化したコンテンツを充実させましょう。SEO対策も意識し、求職者が検索で辿り着きやすいように工夫することも重要です。
- SNSの積極的活用: Facebook、Instagram、X(旧Twitter)など、ターゲット層が利用しているSNSを活用し、企業の日常や魅力を発信します。特に若年層へのアプローチには欠かせません。
- 人材紹介会社・派遣会社の活用: 自社で採用活動を行うリソースが限られている場合や、特定のスキルを持つ人材を求める場合は、専門の人材紹介会社や派遣会社を活用することも有効です。ただし、手数料だけでなく、自社のニーズに合った人材を紹介してくれるかを見極めることが重要です。
- 合同企業説明会・キャリアフェアへの参加: 福岡市内で開催される合同企業説明会や、専門性の高いキャリアフェアに積極的に参加し、直接求職者と対話する機会を設けましょう。
- リファラル採用の推進: 既存の従業員からの紹介による採用は、入社後の定着率が高い傾向にあります。紹介制度を整備し、従業員が積極的に紹介したくなるようなインセンティブを設けることも検討しましょう。
- 異業種交流会・地域コミュニティへの参加: 思わぬところで、潜在的な採用候補者との出会いがあるかもしれません。積極的に地域コミュニティに参加し、自社の存在をアピールすることも有効です。
2. 「守り」の定着戦略:働きがいと安心感を育む環境づくり
せっかく採用した人材がすぐに辞めてしまっては、採用にかかった時間やコストが無駄になってしまいます。定着率を高めることは、長期的な人手不足対策において非常に重要です。
- オンボーディングの徹底:
- 入社前のフォロー: 入社が決まったら、内定者懇親会や事前の情報提供など、入社への不安を取り除くためのフォローを丁寧に行いましょう。
- 入社後のきめ細やかなサポート: 入社初日だけでなく、配属部署でのオリエンテーション、OJT担当者の任命、定期的な面談など、新しい環境にスムーズに順応できるようなサポート体制を構築しましょう。
- 企業理念・ビジョンの共有: 企業の方向性や、自身の仕事が会社全体にどのように貢献しているのかを理解してもらうことで、帰属意識やモチベーションを高めることができます。
- 働きやすい職場環境の整備:
- ワークライフバランスの推進: 長時間労働の是正、有給休暇の取得促進、フレックスタイム制度やリモートワークの導入など、従業員が仕事とプライベートを両立できるような柔軟な働き方を検討しましょう。
- 多様な人材の受け入れと活躍支援: 性別、年齢、国籍、障がいの有無などに関わらず、多様な人材が能力を発揮できるような職場環境を整備しましょう。育児や介護と仕事の両立支援策も重要です。
- ハラスメント対策の徹底: パワハラ、セクハラなどを許さないという毅然とした姿勢を示し、従業員が安心して働ける環境を保証することが不可欠です。相談窓口の設置や研修の実施も有効です。
- 公平な評価制度とキャリアパスの明確化:
- 評価基準の透明化: どのような基準で評価されるのかを明確にし、従業員が納得感を持って働けるようにしましょう。目標設定とフィードバックの機会を定期的に設けることも重要です。
- キャリアパスの提示: 従業員が将来的にどのようなキャリアを描けるのかを示すことで、モチベーションの向上に繋がります。ジョブローテーションや部署異動の機会、資格取得支援なども有効です。
- 適正な報酬・昇給: 従業員の努力や成果が適正に評価され、報酬に反映されることで、エンゲージメントを高めることができます。定期的な賃金の見直しや、成果に応じたインセンティブ制度の導入も検討しましょう。
- コミュニケーションの活性化:
- 定期的な面談・フィードバック: 上司と部下の間で定期的に面談を行い、業務に関するフィードバックだけでなく、キャリアの悩みや個人的な相談にも応じる機会を設けましょう。
- 社内イベントの実施: 社内懇親会、社員旅行、レクリエーションなどを通じて、部署間の垣根を越えたコミュニケーションを促進し、一体感を醸成することも大切です。
- フリーアドレス制や休憩スペースの整備: 従業員が気軽に交流できるような物理的な環境整備も、コミュニケーションの活性化に繋がります。
3. 「未来」の育成戦略:従業員の成長が企業の成長を加速させる
採用した人材を単なる労働力としてではなく、企業の未来を担う「人財」として捉え、その成長を支援することが、長期的な競争力強化に繋がります。
- 体系的な研修制度の導入:
- 新入社員研修: ビジネスマナー、企業理念、業務知識など、新入社員が円滑に業務に入れるための基礎研修を徹底しましょう。
- OJT(On-the-Job Training)の質の向上: OJT担当者への研修や、OJT計画の作成支援など、OJTが形骸化しないような工夫が必要です。
- 階層別研修: リーダーシップ研修、マネジメント研修など、役職や経験に応じた研修を実施し、各階層に必要なスキルを習得させましょう。
- スキルアップ研修: 業務に直結する専門スキルの習得支援(語学、ITスキル、簿記など)、資格取得支援制度などを導入し、従業員の自己啓発を奨励しましょう。
- キャリア開発研修: 自身のキャリアプランを考える機会を提供し、目標設定や自己成長の支援を行いましょう。
- ジョブローテーションと挑戦の機会:
- 多様な業務経験: 複数の部署や業務を経験させることで、従業員の視野を広げ、多角的な視点やスキルを身につけさせることができます。
- 新規プロジェクトへの参画: 既存の業務に加えて、新規プロジェクトやタスクフォースに参画させることで、新たな挑戦の機会を提供し、主体性や問題解決能力を養うことができます。
- 若手への権限移譲: 若手社員にも責任のある仕事を任せることで、成長を促し、将来のリーダー候補を育成しましょう。
- メンター制度・コーチングの導入:
- メンター制度: 経験豊富な先輩社員が若手社員の相談役となり、仕事やキャリア、プライベートの悩みまで幅広くサポートする制度です。心理的安全性を高め、早期離職の防止にも繋がります。
- コーチング: 専門的なスキルを持つコーチが、従業員の目標達成や能力開発を支援する手法です。自己理解を深め、自律的な成長を促します。
- リスキリング・アップスキリングの推進:
- DX推進のためのITスキル習得支援: デジタル技術の進化に対応できるよう、従業員のITスキル向上を積極的に支援しましょう。プログラミング、データ分析、AI活用など、企業のDX推進に不可欠なスキルの習得を促します。
- 新しい事業領域への挑戦を支援: 既存の事業領域だけでなく、新たな事業展開を見据え、従業員が異なる分野の知識やスキルを習得できるような機会を提供しましょう。
中小企業が取り組むべき「人手不足対策事業」の具体例
これまでお話しした3つの柱を踏まえ、福岡市の中小企業が具体的に取り組める「人手不足対策事業」の例をいくつかご紹介します。
- 大学・専門学校との連携強化:
- インターンシップ受け入れの積極化
- 共同研究やプロジェクトへの参画
- 企業説明会やワークショップの開催
- 大学・専門学校のキャリアセンターとの定期的な情報交換
- 地域のイベントやコミュニティへの積極的な参加:
- 地域のお祭りやイベントへの協賛・出展
- 地域清掃活動やボランティア活動への参加
- 地域貢献活動を通じた企業イメージの向上と採用ブランディング
- シニア人材・女性人材の活用推進:
- 定年延長制度や再雇用制度の導入
- 短時間勤務制度やフレキシブルな勤務体系の導入
- 育児・介護休業制度の充実と取得促進
- 再就職支援プログラムの活用
- 外国人材の受け入れと多文化共生への取り組み:
- 外国人留学生の採用支援
- 日本語研修や異文化理解研修の実施
- 生活支援や相談窓口の設置
- 多文化共生を促進する職場環境の整備
- ITツール導入による業務効率化・省力化:
- RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入による定型業務の自動化
- クラウド型勤怠管理システムや経費精算システムの導入
- 顧客管理システム(CRM)や営業支援システム(SFA)の活用
- これらのツール導入は、従業員の負担軽減だけでなく、より付加価値の高い業務に集中できる環境を創出します。
まとめ:未来を創る中小企業のために
人手不足は、一朝一夕に解決できる問題ではありません。しかし、現状を悲観するだけでなく、未来を見据え、一歩ずつ着実に手を打っていくことが重要です。
中小企業の皆様には、ぜひこの人手不足を、「自社の働き方を見直し、企業文化を再構築し、持続可能な成長を実現するためのチャンス」と捉えていただきたいと強く願っています。
株式会社主体的なキャリア形成は、福岡市を拠点に活動するキャリアコンサルタントとして、皆様の「人」に関する課題解決を全力でサポートいたします。採用戦略の立案から、人材育成、組織開発、従業員のキャリア形成支援まで、幅広いサービスを提供しています。
「何から始めたら良いか分からない」「自社に合った具体的な対策を知りたい」といったお悩みがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。皆様の企業が、この福岡の地で、より一層輝きを放ち、未来を創っていくための一助となれるよう、私自身も日々研鑽を積んでまいります。
共に、人手不足の壁を乗り越え、持続可能な強い組織を築き上げていきましょう!

